不動産投資に興味がある方は、まずは書籍やセミナーなどで勉強を始めると思います。しかし、書籍やセミナーなどでは「この物件を買ったら○○万円の収益になった」など不動産投資をやるべき理由や、不動産投資で成功した事例など、結果論的な話が多く、その間の細かい不動産投資用語や知識への説明が省かれている場合がほとんどです。

かといって、細かい知識を学ぼうとすれば、分厚く読むのが嫌になりそうな本を読まなければならず、時間ばかりがかかってしまいます。

そんな不動産投資について興味があるあなたが、将来不動産投資で成功するために必要な実践的な知識を、ここでご紹介していきます。

今回は不動産投資物件を探す上で最も見極めるべきポイントであり、知っておくべき「利回り計算方法」について分かりやすく解説していきます。

なぜ、利回りについて知らなければならないのか?

利回りとは、不動産の投資額に対して年間でどれほどの利益が出るのかを示す指標です。たとえば利回り9.6%で、価格が1,000万円のワンルームマンションであれば、下記計算の通り、年間で96万円の利益が見込める物件ということになります。

1,000 × 9.6 / 100 = 96 (万円)

しかし、利回りがたとえ高い物件であっても、その数字だけを見て「この物件は利回りが良い」と簡単に判断しては危険です。

中には、利回りが良く書かれてはいるものの購入してみたら、全くその値に達しなかったりするケースも十分に考えられます。

そのため、不動産屋さんやインターネットで検索してでてくる物件を見極める際には自分で利回りを計算するスキルは最低持っておいた方が良いと言えます。

利回りには大きく分けて次の2種類があります。ここではその2種類について、しっかり抑えておくようにしましょう。

・実質利回り
・表面利回り

-1、実質利回りとは?

実質利回りとは、購入した不動産の管理や維持にかかる諸経費を差し引いた後にどれくらい利益が得られるかの指標です。つまり不動産を購入後に一体年間いくらが手元に利益が残るかがこの指標により分かります。

たとえば、実質利回り8.3%、価格が1,000万円の不動産を購入したとすれば、年間で83万円の利益が手元に残るということです。

利回りは次の式で求めることができます。

実質利回り(%)={(年間家賃収入額 – 年間経費額) / 物件購入価格}×100

では、次のような物件があった場合、実質利回りはどのようになるかを考えてみましょう。

・物件購入価格:1,000万円
・年間家賃収入額:62万円
・年間経費額:12万円

これらの数値を上記公式に当てはめると次のようになります。

{(62 – 12) / 1000}×100 = 5.0 (%)

このように物件の価格などから逆算して利回りは簡単に求めることができます。

-2、表面利回りとは?

表面利回りとは、実質利回りのように経費を差し引く前に手元に残る利益の指標です。

実質利回りの式から経費を取り除いた、次の式で求めることができます。

表面利回り(%)={(年間家賃収入額 / 物件購入価格)×100}

たとえば先ほどの物件例の数値を上記公式に当てはめると、次のようになります。

{(62 / 1,000)×100}= 6.2 (%)

このように、実質利回り5.0 (%)に対し、表面利回りは6.2 (%)と高くなっています。表面利回りは、経費を差し引く前の指標であるため、必然的に実質利回りよりも高くなるのが普通です。

利回りを判断する際の注意点とは?

利回りを判断する際に注意しなければならない点は次の3つです。

  • 書かれている数値が実質・表面どちらの利回りの値か?
  • 空室率により、利回りの数値は常に変化する
  • 家賃や経費の変動により、利回りの数値は常に変化する

なぜ、利回りの値にこれほど注意しなければならないのかというと、利回りはあくまで机上で満室時を想定して計算された理想の数値であり、実際の不動産運用中にはこの利回り通りに運用できないケースが多々存在するためです。

もし、その物件の利回り通りに物件を運用できるのであれば、だれも不動産投資で失敗などをすることはありません。利回り通りに運用できない場合があるからこそ、不動産投資で失敗する可能性があるのです。

-1、書かれている数値が実質・表面どちらの利回りの値か?

まず、第一に注意しなければならないのが、書かれている利回りの数値が、実質利回りではなく表面利回りである可能性です。
表面利回りは経費を差し引く前の金額で出した利回りの値であるため、実質利回りより数値が高くなります。
中には表面利回りの数値が書かれている場合もありますので、不動産購入前に、表面か実質、どちらの利回りであるかをしっかりとチェックするようにしましょう。

-2、空室率により、利回りの数値は常に変化する

不動産の空室率などは、常に変動するため、その変動に合わせて利回りの数値も変化します。
つまり、購入時は9.6%だった実質利回りが、運用中に空室ができてしまい、8.0%に下がってしまうことも十分あり得る話です。
たとえば次のように、1年間の中で次のような空室がでてしまった場合、利回りはどのように変化していくかを見てみましょう。

空室率により、利回りの数値は常に変化する

上表を見てみると、すべて満室であると仮定すれば、年間で約234万円の家賃収入があることが分かります。その場合の、実質利回りは次のようになります。

{(234万円 – 36万円) / 3,200万円}×100 = 6.1875 (%)

しかし、上表の様に空室が発生してしまうと、実質利回りは次のように減少してしまいます。

■全体の空室期間:5ヶ月
■空室期間得られなかった家賃総額:65,000円×5ヶ月 = 325,000(円)

{(234万円 – 36万円 – 32.5万円) / 3,200万円}× 100 = 5.171875(%)

そのため、損をしないためのリスクヘッジとして、書かれている利回りの値をそのまま信じるのではなく、空室率が20%であると仮定して自分自身で利回りを計算してみることをおすすめします。

なぜなら、銀行が東京の不動産投資用物件の収益性を判断する時に用いる稼働率が20%であるからです。

銀行は必ず利益を回収できる物件にしか融資を行わないという特徴があるため、この20%という空室率をあらかじめ想定した利回りで、自分にとって利益があるかどうかで判断するようにすれば、空室が出るリスクを考慮した判断ができます。

また、これは参考の値ですが、Home’sの行った「全国の賃貸用住宅の空室率一覧」によれば、全国の空室率は次の表の様になっており、空室率の全国平均は21.08%となっています。

この全国平均値からも20%という空室率を想定しておけば、その不動産に相当の問題が無い限り、不動産投資により利益がマイナスになることを防ぐことができることが分かるかと思います。

たとえば先ほどの物件を空室率が20%であると仮定すると、実質利回りは次のようになります。

■全体の空室期間:7.2ヶ月
■空室期間得られなかった家賃総額:65,000円×7.2ヶ月 = 468,000(円)

{(234万円 – 36万円 – 46.8万円)/3,200万円}×100 = 4.725(%)

-3、家賃や経費の変動により、利回りの数値は常に変化する

空室率だけではなく、経費の変動によっても利回りの数値は変化します。たとえば家賃が下がれば、年間の家賃収入は一気に減少します。それに合わせて利回りの数値も下がって行くという訳です。

まず、情報として書いてある家賃も実際には鵜呑みにしてはいけません。購入前には必ず周辺の同等の面積や立地を持つ物件の相場価格を調べて比較することが大切です。

もし周辺の相場価格よりも高ければ、将来的に自分の買った物件の家賃が下がって行く可能性も考えられます。

さらに物件の管理や家賃回代行費、修繕費用など物件の管理・維持にかかる経費も変化する可能性があります。経費が大きくなれば、手元に残るお金は当然減少し、利回りの値は下がっていきます。

たとえば修繕費用などは、水漏れなど突発的に大きな費用がかかった時のために毎月修繕積立金として定額を支払うのが一般的です。その修繕積立金の相場は国土交通省の発行している「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」により次のように規定されています。

たとえば20m2の物件であれば、修繕積立金は次のような相場になります。

218円 × 20m2 = 4,360円

もし、仮に20m2の物件の修繕積立金がこの価格以下であった場合には、将来的に費用が上がる可能性を考慮し、この価格を経費の中に適用して利回りを計算した方が良いと言えます。

不動産投資において利回り計算はリスクヘッジになる

以上のように、不動産屋さんや、インターネットの物件検索サイトに掲載されている情報を鵜呑みにするのではなく、自分でこれまでにご紹介した「表面・実質利回り」「20%の空室率」「周辺の賃料相場」「修繕積立金の計算」など自分でさまざまなリスクを考慮してから、物件購入の判断をするようにしましょう。