みなさんは老後のために貯金をしていますか? 社会保障制度の崩壊や年金受給年齢の引き上げ、受給額の減額が叫ばれている昨今、老後の安心した暮らしのためにお金を貯める人が増えています。しかし、実際老後までにいくら貯めればいいのでしょうか? その具体的な額を計算して目安としてもっている方は意外と少ないのではないでしょうか?

今回はそんなお金を貯めるならば知っておきたい貯金額の目安を各年代ごとにご紹介いたします。

若者を中心にお金を貯める人が増えている!?

SMBCコンシューマーファイナンスが20〜29歳を対象に行った「20代の金銭感覚についての意識調査」によれば、お金を使うことよりお金を貯めることに喜びを感じると答えた若者が約70%とほとんどを占めていることが分かります。

SMBCコンシューマーファイナンス

若者の車やブランド品離れを考えると「今現代の若者にはお金が無いのか?」「今現代の若者の給料水準が下がっているので?」と思ってしまいますが、実はそうではありません。
総務省が毎年行っている「全国消費実態調査」によれば、20代の大卒以上のの単身勤労世帯の給料は2014年の時点で23万円であり、これは、日本が好景気にあったバブル期の頃よりも多い結果となっています。

全国消費実態調査

また、同調査によって、貯蓄も年々増加傾向にあることが分かります。

全国消費実態調査

これらの調査・統計結果により、若者は「お金が無いという訳ではなく、お金を使わない」傾向が強いだけということが分かります。

-1、若者がお金を貯める理由

若者が貯蓄志向になってきている理由は次のようにさまざまですが、最大の理由は、年金や退職金、景気など「将来への不安」です。

内閣府が13歳〜29歳までの若者を対象に出している「子ども・若者白書(概要版)」によれば、日本の若者は諸外国に比べて将来への希望を持っている割合が少ないことや、40歳なった時に幸せになっているイメージがある人の割合が少ない傾向にあることがわかります。

子ども・若者白書(概要版)

子ども・若者白書(概要版)

また、働くことに関する不安も多い傾向にあります。その理由は「老後の年金はどうなるか」「働く先の将来はどうか」「社会の景気動向はどうか」などさまざまですが、それが「若者の将来的な金銭の悩み」に直結していることは明白です。

子ども・若者白書(概要版)

そもそも老後までにいくらお金を貯めればいいのか?

このように若者をはじめとして貯蓄志向が高まる現代社会。実際に「老後までにいくら貯金があれば良い」という明確な目標値を持っている方はどれくらいいるでしょうか?

おそらく「老後の不安により貯金はしているが、実際は老後までにいくらお金を貯めればいいかは分からない」という方が多いのではないでしょうか?

ここではその具体的な目安についてご紹介します。

65歳の定年までに必要な貯金額を求めるには?

今現在は定年退職年齢が60歳となっている企業がほとんどですが、今後年金の受給年齢の引き上げに伴い、定年も60歳から65歳に引き上げられることが予想されます。

実際に定年後も、嘱託社員・契約社員として働き続けるというケースも大企業などではよく見られます。

ここでは65歳から無勤労状態になるという想定の元で、試算していきます。
65歳までに必要な貯蓄金額は次のような式で導くことができます。

<65歳までに必要な平均貯蓄金額(試算)>
老後に必要な平均貯蓄金額=平均寿命までの支出額 — 平均寿命までの年金受給額

人によっては貯蓄型の保険などに加入している方や昨今コーヒーショップや警備員、嘱託社員など、労働収入を得ているなどの例を除けば、基本的に65歳からは貯蓄と年金で生活を立てていくことになります。
つまり、65歳から死ぬまでに使う総支出額から65歳から受け取れる年金総額(※今現在は60歳から徐々に引き上げられているため、ここでは仮に65歳から年金が受け取れると仮定して試算しております)を引くことで、老後までに私たちがいくら貯蓄をすればいいのかの金額が分かるという訳です。
ここでは平均的なモデルケースとして、多くの人が新卒として働き始める22歳から貯金を始め、下記平均初婚年齢に結婚をして、平均寿命まで生きる場合を想定して、老後までに必要な金額を計算してみましょう。

■日本人の平均寿命:男性の平均寿命が約81歳、女性の平均寿命が約87歳
(出典:厚生労働省「平成27年簡易生命表の概況」)より)■高齢無職世帯(二人以上の世帯のうち世帯主の年齢が65歳以上の世帯)の平均支出額:257,230円
(出典:総務省統計局「平成27年家計調査報告(家計収支編)」より)

■高齢者単身世帯(女性)の平均支出:150,274円
(出典:総務省統計局「平成27年家計調査報告(家計収支編)」より)

■平均初婚年齢:男性31.1歳、女性29.4歳
(出典:厚生労働省「平成27年人工動態統計月報年数(概数)の概況」より)

-1、定年から平均寿命までの年数

男性の平均寿命は約81歳、女性の場合は87歳です。65歳で定年して、年金生活がスタートしたとすれば定年から平均寿命までの年数はそれぞれ次のようになります。

・男性:81-65=16(年)
・女性:87-65=22(年)

仮にこの男女が平均初婚年齢で結婚した夫婦だとすれば、次のような条件が考えられます。

・老後の夫婦としての期間:16(年)
・老後の女性のみの期間:6(年)

-2、老後に必要な総支出額とは?

老後に必要な総支出額は次のような式で求めることができます。

老後に必要な総支出額=夫婦としての期間の支出+女性のみの期間の支出

上条件より、高齢無職世帯(二人以上の世帯のうち世帯主の年齢が65歳以上の世帯)の平均支出額は、月257,230円であり、高齢者単身世帯(女性)の平均支出額は、月150,274円であるため、老後に必要な総支出額は次のようになります。

16(257,230×12)+6(150,274×12)= 60,207,888(円)

よって老後に必要な総支出額は60,207,888(円)ということが分かります。

-3、年金受給総額

次に老後に貰える年金受給総額を計算していきましょう。受給金額は年によって変わってきますが、ここでは次の平成28年の年金受給額で計算してみましょう。

■平成28年度の国民年金受給額(満額):年間780,100(円)、月間約65,008(円)
(出典:日本年金機構公式サイトより)

満額とは40年間国民年金保険料を漏れなく払い続けた場合に貰える金額です。例えば30年間しか国民年金保険料を納めていなかった場合には、次のような計算となり、年間で約58万円が支給されます。

各年度ごとの国民年金受給額(満額)× 国民年金保険料納付月数 ÷ 480

また、男女それぞれの年金受給期間は次のようになります。

・男性の年金受給期間:16(年)
・女性の年金受給期間:22(年)

それぞれに国民年金受給額の年間780,100(円)を掛け合わせ、それぞれを足すと、モデルケースの夫婦が老後に受給する年金総額は次のようになります。

男性の国民年金総受給額:780,100 × 16 = 12,481,600(円)
女性の国民年金総受給額:780,100 × 22 = 17,162,200(円)
合計:29,643,800(円)

65歳の定年までに必要な平均貯金額とは?

以上の計算より、私たちが65歳の定年までに必要な平均貯金額は次のようになります。

<65歳までに必要な平均貯蓄金額(試算)>
平均寿命までの支出額 — 平均寿命までの年金受給額 = 老後に必要な平均貯蓄金額
60,207,888(円)- 29,643,800(円)= 30,564,088(円)

これにより、私たちは老後までに約3,056(万円)のお金を貯めることが必要であることが分かります。

平均のケースにしては意外と大きな金額の貯蓄が必要なことに驚いた方も多いのではないでしょうか。しかし、これはあくまで国民年金受給額が満額の場合の平均のモデルケースです。国民年金納付月数が短い場合はそれ以上の貯蓄が必要になってきます。

また、病気にかかってしまったり、事故を起こしてしまったり、他にも家族で旅行などに積極的に出かけたり、老後をより安心して暮らすためにはこれ以上の貯蓄が必要になってきます。

社会保障制度の崩壊が叫ばれている昨今、最悪のケースを考え、もし仮に年金が貰えないということになれば平均約60,21(万円)もの貯蓄が必要になってきます。

年代別貯蓄額の目安とは?

老後までに多くの貯蓄を用意しておく必要があることはご理解頂けたと思います。しかし「実際に今の貯金ペースで間に合うのか?」が分からないと「このままで大丈夫かどうか」の判断がつけにくいのではないでしょうか?

ここでは、今みなさんの年でどれくらいの貯金があれば良いのかを仮のモデルケースで計算してみましょう。これを一つの貯金の目安として、判断基準にぜひ使ってみてください。
※あくまでモデルケースの試算です。個人の経済状況はそれぞれ違うため、全ての人に当てはまるとは限りません。あくまで目安としてお使いください。

貯蓄額の目安は次のような式で計算することができます。

30,564,088(円)÷(65 – 貯蓄開始年齢)= 目安の年間貯金額
目安の年間貯金額 × (皆さんの年齢 – 貯蓄開始年齢)=今現時点での目安の貯金額

ここでは例として29歳、39歳、49歳の場合、また貯蓄開始年齢を大卒が一般的に働き始める22歳で考えてみましょう。この年齢を上の公式に当てはめてみると次のような結果になります。

■目安の年間貯金額
30,564,088(円)÷(65 – 22)= 710,792(円)■29歳の貯蓄額の目安
710,792 × (29 – 22) = 4,975,549(円)

■39歳の貯蓄額の目安
710,792 × (39 – 22) = 12,083,476(円)

■49歳の貯蓄額の目安
710,792 × (49 – 22) = 19,191,404(円)

以上より、目安として22歳から年間平均71(万円)以上の貯蓄を続けていれば、65歳までに目安の貯金額の3,056(万円)程度になります。

お金を貯めるコツは目標からの逆算!

以上により、65歳までに約3,056(万円)の貯蓄が必要であるという貯蓄目標、そしてそこから逆算して毎年平均71(万円)ほどの貯蓄を続けて行けば良いという短期目標が設定できたと思います。

これをさらに12ヶ月で割ると、1ヶ月に必要な貯金額は約59,166(円)となり、これが具体的に今自分がすべき貯金目安となります。

このように、お金を貯めるコツは「老後が不安だからなんとなく」ということではなく最終目標をしっかりと決めて、そこから1年、1ヶ月と逆算してある程度の目安を作ることです。

「65歳までに3,056(万円)貯める」という目標では、今のペースで貯金を続けて間に合うのかすらわかりません。

それよりも、そこから逆算して「1ヶ月59,166(円)を貯める」という短期目標に書き換えてしまえば、今自分が「目標に向かって順調に進んでいる」または「このままでは足りない」という判断が自分自身で出来ます。

もし「このままでは足りない」ということであれば「投資」「副業」「転職」「資格の取得」などさまざまな回避策を練って動くこともできます。

私がこの記事でみなさんにお伝えしたかったのは「老後までに必要な金額」ではありません。また、「3,056(万円)も必要だから何か行動しなければいけません」ということでもありません。

この記事のように、お金を貯める最終目標から逆算して短期目標に落とし込むことこそが、上手くお金を貯められる人と貯められない人の違いであり、また、そのちょっとした努力一つが老後の自分自身の生活を大きく変えてしまうということをお伝えしたかったのです。

このままでは老後にお金が足りない…と不安になったあなたへ

本記事を読んで、「このままでは、老後のお金が足りない」と感じた方も多いかもしれませんが、安心してください。まず本記事のような計算でそのような現状を把握できただけでもラッキーです。

今現代は、一昔前とくらべてインターネットにはさまざまな財テクや、お小遣い稼ぎの情報が溢れています。

つまり「お金が足りない、どうしよう」ではなく「お金が足りない、じゃあこれをやってお金を増やそう」という思考に切り替えることで、誰でも比較的簡単にできてしまう時代だということをしっかりと認識することが次のステップになります。

このサイトには多くのお金の貯め方、増やし方、など私の銀行員時代の経験や投資家となってからの経験から得た学びなどをコラムとして掲載しています。「お金が足りない」と不安に感じた方はまずは本サイトのコラムで情報を得ることから始めてみてください。