不動産投資に興味はあっても「購入金額が1000万円単位だから、リスクも高いのでは?」と不安に思っている方は多いのではないでしょうか。しかし、実は、投資経験者から見れば、株式投資やFXなどに比べてむしろ、不動産投資は低リスクであると言えます。なぜなら他の投資に比べて、リスクを自分自身でコントロールしやすいからです。ここでは、そんな不動産投資のリスクを正しくコントロールする、ビギナーが知っておくべき3つのリスクヘッジ方法についてご紹介します。

不動産投資のリスクとは?

株式投資やFXなどに比べて不動産投資が低リスクであると言っても、投資である以上、その価値の変動などによるリスクはあります。しかし、不動産は現物資産(※1)への投資であるため、株式投資やFXなどのようにいきなりその価値が0や、それ以下になることはありません。

また、リーマンショックや企業の倒産、米大統領選挙など、予想できないことで(ある程度予測する術はありますが、個人では限界があります)一気にその価値が失われたりする株式投資やFXと比べて、不動産投資のリスクというのはある程度決まっています

リスクがある程度分かっているが故に、その対策を事前に打つことができます。このように不動産投資は、リスクを自分自身でコントロールしやすい投資と言えます。

不動産投資には、不動産を購入時・運用時・売却時といった各タイミングごとに大きく分けて次の3つのリスクが存在します。

・不動産購入時のリスク
・不動産運用時のリスク
・不動産売却時のリスク

では、各タイミングの際に具体的にどのようなリスクが存在するのかをご紹介しましょう。

不動産購入時のリスク

これは不動産を選定し、購入する際に発生するリスクです。一言で表すと、問題のある物件を誤って購入してしまうリスクです。

問題のある物件とは、例えば次の3種類の物件があります。

■心理的瑕疵物件(しんりてきかしぶっけん)…自殺、殺人、孤独死などがあり心理的に住み心地の悪さを感じる物件

■物理的瑕疵物件(ぶつりてきかしぶっけん)…雨漏りやシロアリ、耐震強度不足、欠損など欠陥がある物件

■環境的瑕疵物件(かんきょうてきかしぶっけん)…近隣の騒音、悪臭、または暴力団事務所などがあり、その影響を受ける物件

自殺や殺人、孤独死などが起きた物件を想像して貰えると分かりやすいと思いますが、こういった問題物件には入居者がなかなか入りづらいだけではなく、売却もしづらいため、必然的に家賃や売却価格は落とさざるを得ません。

たとえば、隣の部屋は家賃が65,000円なのにもかかわらず、その部屋だけ家賃が38,000円だったり「過去に何かあったとしか思えない物件」を見たり聞いたりしたことがあると思います。

このような物件を購入してしまうと、せっかく不動産投資用として購入したはいいものの、入居者が付かずに家賃収入を得られない、さらには物件自体も売れにくく、たとえ売れたとしても購入時よりも価格が低かったり、大きな損をしてしまうリスクがあります。

こういった物件を購入しないためには、事前にしっかりと物件を調査しておくことが大切です。

-1、心理的瑕疵物件購入のリスクヘッジ方法

不動産投資を行う人にとって一番怖いリスクがこの心理的瑕疵物件購入、通称「事故物件」を購入してしまうリスクではないでしょうか。

しかし、心理的瑕疵物件の売り主には「買い主、借り主に告知をする義務」があります。しかし、告知が義務づけられる期間などが明確にされておらず、一度住んだらそれ以降は告知をしないという場合もよくあります。

そういった物件を回避するには、まずは販売している不動産担当者、もしくは売り主に直接「この物件は心理的瑕疵物件ではありませんか?」と確認することです。

口で確認するだけではなく、出来るのであれば電子メールや書面で聞いておくことをおすすめします。

口だけでは、後に購入したものが心理的瑕疵物件であることが判明した時に「言った」「言わない」の話になり、もつれてしまいます。

一方で、書面など形に残るようなものでそういった質問を交わしておくことで、発覚した時に契約が解除しやすくなったり、説明義務を果たさなかったことにより生じた損害賠償を請求することができます。

また事故物件公示サイト『大島てる』でも、事故物件を確認することができますので、合わせて使ってみると良いでしょう。(※事故物件がすべて公示されている訳ではないので注意してください)

■もし、購入後に心理的瑕疵物件になってしまった時にはどうすれば…

たとえば、購入後に住んでいた人が自殺してしまったなど、購入後に心理的瑕疵物件になってしまうリスクもあります。そういったリスクに対しては「保険への加入」と「ご遺族への損害賠償請求」によって対処しましょう。

※いざという時に損害賠償請求できるように、入居審査や入居者の親族を保証人に立てるなど十分リスクヘッジをしておくことが大切です。

-2、物理的瑕疵物件購入のリスクヘッジ方法

物理的瑕疵物件を購入しないようにするためには、不動産購入時に交わす契約書の中にある「物件状況確認書」の記載項目を確認しましょう。

物件状況確認書には、過去のリフォーム履歴や、耐震性、雨漏り、石綿調査結果など物件に関するさまざまな情報が掲載されています。それを購入前にしっかりと確認することで、物理的瑕疵物件購入のリスクを減らすことができます。

購入時の書類はたくさんあるため、もし、どれか分からない場合には不動産販売店の担当者に「物理状況確認書を見せてください」と言いましょう。また、少しでも分からないことがあれば「これはどういう意味ですか?」と質問することが大切です。

-3、環境的瑕疵物件購入のリスクヘッジ方法

環境的瑕疵物件を購入しないようにするためには、管理会社への問い合わせ、または管理会社に以前の入居者に環境的瑕疵が無かったかを確認することでリスクヘッジできます。また、それだけではなく自分自身が1度現場に趣き、周辺の状況を確認しておくとなお良いでしょう。

近隣の暴力団事務所については調べようが無い場合もありますが、同物件内にある場合には、売り主には「告知義務」が発生しますので、こちらも電子メールや書面など形に残るようなもので質問しておくことが有効です。

不動産運用時のリスク

不動産運用時には、次のように、実にさまざまなリスクが生じてきます。
これでも株式投資やFXの膨大なリスクと比べれば少ない方です。また、一つ一つどのようなリスクなのかを知り、事前に対策をすればリスクヘッジできるものばかりです。

  • 空室リスク
  • 家賃滞納リスク
  • 物件価格下落リスク
  • 建物損壊リスク
  • 金利上昇リスク
  • 税金リスク(増税・税金滞納)
  • 賃貸管理会社倒産リスク

では、早速不動産投資運用時のリスクを一つひとつ詳しくご紹介いたします。

-1、空室リスク

不動産投資は次のような2つの収益が期待できる投資です。

・インカムゲイン(毎月の家賃収入)
・キャピタルゲイン(売却収入)

不動産投資ビギナーが失敗しないために知っておくべき3つのリスクヘッジ

しかし、たとえば上の図のように全6室の新築アパートを購入したとすれば、購入した次の月から、6室分の家賃収入があります。

しかし、極端な話、そのうち4室しか入居者がいなければ、家賃収入は4室分しかもらえません。また、1室も埋まっていなければ、収入はゼロになります。

ご自身の資金で不動産を購入したのであれば、まだ良いのですが、銀行からのローンで購入した場合には、家賃収入がなければ毎月の返済をすることができなくなってしまいます。これが空室リスクです。

-1-1、空室リスクへの対処法とは?

空室リスクについても次のような対処法が存在します。

■空室リスクの少ない物件を選ぶ
空室になりやすい物件というのは、最寄り駅から遠かったり、部屋の管理が悪く汚かったり、そもそも主要都市までの利便性が悪かったり、という何かしら人を遠ざける「理由」が存在します。
そのため、購入の前に、物件を実際に見学に行って主要都市までのアクセスや周辺の環境を調べたり、専門家に相談したりすることで空室リスクに対処していきましょう。

■空室率の少ない管理会社を選ぶ
実際物件を購入すると、賃貸管理などを一括して不動産会社が手配してくれることが多いです。その物件が空室になるのは不動産会社にとってもリスクですので、しっかりと入居者募集などをかけてくれます。
中には入居率98%など、低い空室率を誇っている集客に強い管理会社もありますので、そういった会社を使ってみるというのも、空室リスクに対処する1つの方法です。

■家賃保証サービスの使用
賃貸管理会社などを使っている場合、空室が発生した時の家賃を8〜9割程度保証してくれる家賃保証サービスを提供してくれている所もあります。こういったサービスを使うことでも空室リスクに対処することがdけいます。

-2、家賃滞納リスク

入居者の家賃滞納によっても、家賃収入が減り、もし仮に全員が家賃を滞納した場合、家賃収入はゼロになります。

そうすると、銀行とローンを組んでいる方にとっては、家賃収入の中から毎月の返済額が出せずにマイナスになってしまいます。

気持ち的には「出て行ってください」と言いたい所ですが、日本の法律ではあまり強く言うことができません。そのため、家賃滞納は「どうにかしたいけど、どうすることもできない」貸し主にとっては甚大なリスクと言えます。

-2-1、家賃滞納リスクへの対処法とは?

家賃滞納リスクについては次のような対処法が存在します。

■入居審査の強化
家賃を滞納しなさそうな、きちんとした人しか入居させないように具体的には下記様な審査(※実際はもっと多くの項目を調査します)を行います。

・連帯保証人をつける(できれば親族)つけられないのであれば保証会社を通す
・職業や収入額の調査(毎月家賃が支払えるほどの収入を安定的に得ているかどうか)

■賃貸管理会社へ建て替え依頼
賃貸管理会社に家賃の管理を依頼している場合、家賃の滞納があった場合、一定期間(大体6〜12ヶ月程度)家賃を立て替えてくれます。また、支払いの督促なども一括してやってもらえるので、賃貸管理会社に家賃の管理を依頼している場合には兼ね問題ありません。

■建物明渡訴訟

何度支払い督促をしても支払わない場合の最終手段です。これを行うことにより法の下で、入居者を強制的に退去させることが出来ます。しかし入居時に保証会社を使っていれば費用は、保証会社の負担となりますが、使っていない場合には、弁護士費用・裁判費用・執行費用、すべて貸し主の負担になってしまいます。

アパートなどの場合には、訴訟を起こす前に弁護士など第三者を含めて本人と交渉をした方が良いでしょう。

また、訴訟が通ったとしても強制執行までは大体3ヶ月くらいかかってしまうため、貸し主さんの負担は相当なものになってきてしまいます。

-3、物件価格下落リスク

不動産は年数が経過するにつれて次のようなことが原因で、価値が低下していきます。それに伴い、家賃や売却価格も低下していきます。

例えば、元々実質利回りが3%で購入価格が1,000万円、家賃が月10万円のワンルームマンションに投資をしていたとしましょう。

この物件は、年間で30万円(1,000万円×0.03)の利益を得ることができます。また年間で120万円(10万円×12ヶ月)の家賃収入があり、経費や返済に90万円を年間で納めなければなりません。

これが1年後家賃が10%下がったとしましょう。そうすると、家賃は9万円となり、年間収入が108万円に下がってしまいます。経費や返済に90万円がかかるというのは変わらないため、年間利益が30万円から18万円に下がってしまうということになります。

通常1年に1%ずつ低下していくと言われていますが、立地や経年劣化、需要の変化によって徐々に下がっていきます。
不動産の価値が0円になることはありませんが、このような不動産価値の下落を考慮した物件選びが必要になってきます。

-3-1、物件価格下落リスクの対処法

物件価格下落のリスクに対処する方法には、価値の落ちにくい物件を選ぶしかありません。価値の落ちにくい物件の条件はさまざまですが、一般的には次のような物件が物件価値が落ちにくいとされています。

■駅から徒歩10分圏内
■主要都市へのアクセスが良い
■ターミナル駅
■オートロック、風呂トイレ別など物件の良さ

-4、建物損壊リスク

不動産には、火災など人的要因、地震や台風などの災害によって建物が倒壊してしまうリスクがあります。

多少の修繕ですめば良いですが、地震などによって建物が丸ごと倒壊してしまっては家賃収入、売却収入共に見込めなくなるため、購入金額分の損を被ってしまいます。

-4-1、建物損壊リスクへの対処法

たとえば、火災であっても、住人が起こした火災だけではなく、飛び火による火災や、放火による火災など、自分でリスクをコントロールしたり、被害を抑えるのには限界があります。

特に地震などはいつ起こるかがわかりませんし、倒壊するときは倒壊します。
そのため、これらのリスクに対処するためには「もし起きた時に損をしないように」という対処法を取る必要があります。具体的には次のようなリスクヘッジをしておくと良いでしょう。

■火災保険・地震保険への加入
■入居者の火災保険加入状況をチェックする

-5、金利上昇リスク

不動産投資を金融機関からの融資によって行っている場合には、日本経済の動向によって将来的にその金利が引き上げられる可能性があります。

金利というと「1%かわったとしても、それほど大きく変わらない」というイメージがありますが、不動産は1,000万円以上の額になるため、金利1%で大きく変わってきます。

たとえば、銀行から金利3%で、7,000円の融資を受け、15年ローンで不動産投資を行った場合は、月々47.7万円の返済額になります。

仮にこの金利が1%上昇したとしたら、月々50.6万円の返済額に上がってしまいます。

もし物件の実質利回りがあまりよくない物件であれば、金利が1%上がっただけど、マイナスになってしまう可能性もあるということです。

-5-1、金利上昇リスクへの対処法

金利上昇を予測することは非常に難しいと言えますが、今現状の利率よりもある程度上がること。そして利回りが下がることを想定して、最悪の状況でもマイナスにならないことを確認してから、購入に踏み切るしかリスクヘッジに方法はありません。

-6、税金リスク(増税・税金滞納)とその対処法

不動産の所有者には、次のような税金がかかってきます。未納のまま忘れてしまうと、最終的には物件の差し押さえとなってしまうため、忘れずにしっかりと納付するようにしましょう。

■固定資産税、都市計画税
所有する不動産の価格に応じてかかる税金です。1000万円以上の不動産にかかる税金ですので、それなりの額がかかってきます。毎年6月程度に納付書が届きます。よくありがちなのが、不動産投資の利益を使い込んでしまって、6月に納付書が届いた時に支払いができないというパターンです。そうならないようにきちんと計算して、税金が納付できるようにストックしておきましょう。

■不動産所得税
不動産(土地・家屋など)を購入した時にかかる税金です。不動産購入後6ヶ月後くらいに納付書が届きます。固定資産税や所得税などとは違い不動産購入時に一度だけかかる税金です。

■所得税
これは、不動産の家賃収入など、利益として受け取った額に応じてかかってくる税金です。サラリーマンの方など、企業に勤めながら不動産投資をやっている方は、毎年この所得分の確定申告が必要です。

-7、賃貸管理会社倒産リスクとその対処法

不動産投資で家賃の回収などを賃貸管理会社に依頼している方は多いでしょう。賃貸管理会社は家賃回収の手間や、督促、また、もし家賃の延滞が続いた時にある一定期間立て替えてくれるため、会社に勤めながら不動産投資をやっている方にとっては無くてはならない存在です。

しかし、当然会社ですから経営が傾けば倒産してしまう可能性もあります。倒産してしまうと主に家賃や敷金が帰ってこなくなるため、貸し主としては損を被ってしまうことになります。

「いつ賃貸管理会社が倒産するか?」はだれも予測できることではないので、家賃の振込が何ヶ月も遅れるようであれば、管理会社を変更するなどして、リスクヘッジをはかると良いでしょう。

-3、不動産売却時のリスク

不動産売却時のリスクもあります。それは、なかなか買い手が付かなかったり、希望価格で売却できなかったりなどです。

大体不動産の売却には3ヶ月〜半年程度かかると言われており、その間にも相場や物件価値が変動してしまうこともあります。しかし、売却時にローンを完済しているのであれば、売却額はすべて利益になりますので、額の多少の変化に一喜一憂することはないでしょう。

しかし、ローンがまだ残っているのであれば、この流動性のリスクはきっちりと考慮しておかなければなりません。

-3-1、流動性リスクへの対処法

こればかりは、いかに買い手が見つかりやすい物件かが重要になってきます。たとえば、きれいに管理されていたり、立地がよかったり、空室率が低いなど、買い手がつきやすい条件を持った物件を購入時にしっかり選ぶなど、購入時からこのリスクについて考えておく必要があるでしょう。

不動産投資をやる上で、最大のリスクヘッジとは?

これまでさまざまなリスクとその対処法をご紹介してきましたが「こんなに沢山あるの?」とびっくりされた方や、「こんなにリスクがあっては対処できないよ…」と不安に思った方も多いのではないでしょうか。

もちろんこれらは独学でしっかり調べて学ぶことで、リスクヘッジは自分で出来てしまいます。しかし、やはり1つでも漏らしてしまっては、額が大きいだけに損も大きくなるのが不動産投資です。

そのため、不動産投資家を実践している人から直接「これとこれは注意してね。俺はこのリスクヘッジをしてなくて大変な目にあったから…」など、成功や失敗の実体験を聞いてみるというのが実は一番のリスクヘッジだったりします。

もし、こういったリスク管理が難しいと思った方は、ぜひ不動産投資家の集まるコミュニティやセミナーなどに足を運んでみましょう。